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白菜の漬物

主人の実家から、大きな白菜をもらった。
「この白菜で、あの漬物が漬けられるかなあ…。でも、なかなかヒマがとれないなあ」
そう思いつつ、書きとめた漬物のレシピを手にとって見たりしていたのだ。
それが、こんな形でもう一度見つめなおすことになるなんて。
祖母が亡くなって、まだ3ヶ月しかたっていないのに、またもや訃報が飛び込んできた。
叔母である。もともと身体は丈夫でなく入退院を繰り返していたのだが、まさかこれほど早く逝ってしまうとは思ってもみず、今も呆然とするばかりだ。
祖母の葬式の時に数年ぶりに会った叔母は、病気のせいか白髪が増え、急に小さくなってしまっていて、そのことの方が胸を詰まらせた。すでに骨がもろく、転ぶと即骨折してしまうから、みんなが叔母を気遣い、喪主の妻という重責をなんとかしのぐことが出来て、皆ほっとしたものだった。
滞在したほんのわずかの間に、めずらしくベッドから抜け出して台所に現れた叔母を、妹と2人で呼びとめて、座ってもらった。
「叔母さん、おばあちゃんの漬物の漬け方、教えてよ」
亡くなった祖母は、北朝鮮から苦労してひきあげてきた。たぶん現地で覚えて自分流に改良を加えた「白菜の朝鮮漬」は、私達親族が集うお正月料理の席での花形だった。祖母が漬けられなくなったかわりに、それを嫁である叔母が引き継いだ。その漬物の漬け方をどうしても教えてほしかったのである。
叔母は、先ほどまでとは打って変わったように、元気に見えた。
「じゃあ、メモしてな。白菜を最初、ざっと洗ってかわかすんやに」
「うんうん、それから…?」
「白菜の間にねぎやしょうが、にんじん、大根、細く切ったこんぶを挟みこんでいくんよ。ひと月ぐらい漬け込んだら、すっぱくなってちょうど食べごろなんやに…」
そうして、私や妹の顔をじっと見つめて、さらっと言った。
「味を、伝えていってください」
そうだね、延々おばあちゃんの味を伝えていかないとね、とそのときは笑ったのだ。
味を伝えていくことは、たぶん命を伝えていくことと似ている。祖母の味は叔母が受け継ぎ、それはまた私や妹の手を借りて生き続けるのだろう。
やはり今年はがんばって、この白菜漬けを作らなければ!と思いを馳せつつ、あの時の叔母の表情が忘れられない。

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Comments (Close):3

あんまま(別) 05-01-30 (日) 22:47

叔母さま、残念でしたね。ご愁傷様です…
義母が漬ける茄子のお漬物は絶品なんですが
何故かうまくできないんですよねー。
考えたら漬ける量が違ってたんです…
どうぞ命をつないで味をつないでいけますよう
ちゃいむさんの漬物が上手に仕上がりますようにと
願うばかりです。

ちゃいむ 05-01-31 (月) 9:40

あんままさん、ありがとう(うるうる)
またちょっと思い出しちゃいました。
叔母が亡くなったのは一昨年で、去年無事に一周忌をすませました。大好きな叔母だったので、本当にいなくなったのがうそのようです。
私はどうも料理は苦手な部類なんですが、一緒に話を聞いた妹はちゃんと白菜を漬けて、結構おいしくできたそうです!!
あんままさんも、茄子のお漬物、がんばってね^^

ちゃいむ 05-02-02 (水) 1:49

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