※ネタバレには注意していますが、未読の方は気をつけて。
三崎亜紀さんの新刊短編集、『廃墟建築士』を読んだ。
以下は本の画像。
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ありえないことなど、ありえない。不思議なことも不思議じゃなくなる、
この日常世界へようこそ。七階を撤去する。廃墟を新築する。
図書館に野性がある。蔵に意識がある。ちょっと不思議な建物をめぐる
奇妙な事件たち。現実と非現実が同居する4編収録の最新作。
(amazon 「BOOKデータベース」より引用)
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三崎さんワールド炸裂の短編集。
長さからいうと、中編になるかも。
『バスジャック』に登場した、あの日野原さんにも会える。
(ハリポタ化?)
三崎さんの魅力は、「そういう世界もアリかも」と思わせる
妙なリアリティーが、本当にしっかり構築されている、ということ。
それぞれの作品は、まさにパラレルワールドへの旅だが、
いつしかデジャヴ?と錯覚するような……。
「となり町戦争」みたいな長編よりも、これぐらいの
長さだとやっぱり「旅人」で終われるので、疲れなくて好きかな。
内容でいえば、タイトルの「廃墟建築士」が一番スケールが
大きい(建築だからか…笑)。
CGでいいから、「廃墟」を観てみたい。
あとは、「七階闘争」。私は七階に住んでいなくてよかった<違
……って、そういう問題じゃないんだけれど、これも
ある意味「そういうことがあるのかもしれない」と思わされる。
「臭い物にはフタ」「排除」「切り捨て」という発想は、
現代人の中にも脈々と流れているではないか。
『となり町戦争』を観た。
監督・脚本は渡辺謙作、原作は三崎亜記。
以下は、DVDの画像です。
角川エンタテインメント (2007-09-28)
売り上げランキング: 15085
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ある日、突然となり町との戦争が勃発。詳しいことは何一つ
わからないまま、偵察業務要員として巻き込まれる主人公。
役場の戦争推進室の香西さんとニセの夫婦生活を送るが、
戦争の姿は何一つ見えず、戦死者の数が増えていくだけ……
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原作は、2年以上前に読んだので、まったく記憶欠如。
たぶん、原作のほうが映画よりもずっとシュールでブラックで、
より読み手に想像力を委ねる作りになっていたように思う。
映画のほうは、
「観ている人にこういうことを伝えたい」
というメッセージ性が後半、かなり前面に出ていた。
そのあたり、こういった抽象的な作品を映像化することの
難しさなんだろうなあ。
前半は、けっこう原作に近かったんだけれども。
戦争が「業務」であり、役場に対策室があるという設定、
あまりにもナンセンスだよね。
本当は、戦争なんてこういうものなんだろう。
とても怖いことなんだけれど、知らない間にコトが進んでいて、
ワケわかんない間に巻き込まれていて、
そして、感覚や感情が少しずつ麻痺していく。
そういった毎日が、日常になっていくのだ。
きっと、外国のどこかで今も起こっている戦争はそうなのだろう。
日本人は、そういったことにめちゃくちゃ疎いということを、
皮肉っているんだろうな。
最後は、本当に大切なものを守りたい、というわりとスタンダードで
ストレートなメッセージになってはいたけれども。
原作のほうの感想はこちら。
三崎作品は、「となり町戦争」に続き、二作目。

以下、ネタバレ注意。
表題作「バスジャック」を含む、7つの短編。
作品ごとにまったくまとう雰囲気が違っていて、人によって好きな物語も違うだろう。
版元集英社では、特別企画として
「お気に入り短編投票」などを行っているようだ。
個人的に好きなのは、表題作「バスジャック」、「動物園」。
心に響いたのは最後の「送りの夏」。
これらは、どれもが全くテイストの異なる短編だ。しかも、どれもがまさに帯にある「鮮やかなストーリーテリング」。
短編というのは、非常に難しいと思う。
たぶん、それは長さの中で収拾をつけることができないからだ。短く無駄のない文章でありながら、読者の心を動かす発想の豊かさが求められるからだろう。
そういう意味では、三崎亜記という人は、とても才能があると思う。
最も短い短編「しあわせな光」や「二階扉をつけてください」を読んだとき、ショートショートの名手、星新一を思い出した。
あらためて言うのも変だが、星新一ってすごかったんだな、と。
おや、話が逸れてしまった。
「送りの夏」は、透明な哀しみと共に胸に来た。
「誰かを失う」という瞬間は、本当に突然訪れる。
もしも、ゆっくりと別れを告げることができたなら…
たとえ、もう別れると分かっていても、それを受け入れる準備ができたなら。
それがわがままだと言えようか?
帯の読者の感想の中にあった「日常の中の非日常シチュエーション」。それが三崎亜記の真髄なんだろうな。
今後の作品が楽しみ!
★感想なのでネタバレあります。注意!
非常に不思議な雰囲気と透明感で満たされている。
淡々と「戦争」は進むのだ。
最初の「貼り紙」を見て、勝手に「こういう展開じゃないの」と考えていたのを、
見事に裏返された。
まったく違う次元といえばいいだろうか。
あちこちであらすじを見て、もしかして「バカバカし系」なのだろうかと
思い込んでいたのだ!(恥
ミステリでもエンタメでもなく、純文学である…
そんな高いところにあったのである。ああ。
(純文学苦手)
もし、もっと静かに落ち着いた環境で読むことができたなら、
戦争の音も、光も、気配も、もっとワタシの中に入り込んで来ただろう。
それほどまでに感覚的なストーリーゆえに、たぶんこの作品は賛否が分かれ、
読み手の考え方、価値観などによって感想のギャップが激しいのでは、
と思った。
結局何がいいたいの?と言う人も多いだろう。
「戦争」という非日常が日常にならなければ、気づかないのかもしれない。
それほどまでに、戦争は遠い世界で起きている。
登場人物たちは、どこかコミカルにも思えるが、やはり本物の「戦争」
なのだから、どこまでも生と死とが隣り合わせなのである。
「戦争は善か悪か」「賛成か反対か」というレベルを超えたところで、
本当の戦争は行われているのだ…などなど、いつになく真面目に
考えさせられた本だった。
ミステリ好き(解決とか結論がないと嫌な人)にはオススメしない。